中小企業診断士の資格を取得てまもない方は、なかなか仕事に恵まれないというお話もよく聞きます。
ようやく手に入れた中小企業診断士の資格。これまで大手の企業に勤めていて人脈もあるし多くのプロジェクトを成功させてきた実績もある。なんとかなるだろうと思って退社した。
名刺も作って、まずは交流会に参加。交流会は名刺交換がたくさんできて、いろんな業界の方々と繋がった。とりあえず月1回は交流会に参加してみよう。そう決めて1年がたつ。
この一年でやったことは知人が主催している「補助金セミナー」の講師。20人程度の参加者の前で補助金申請について解説した。初めて初見の人たちの前でセミナーを開催したけれど、「分かりやすかった」と高評価をいただいたのは嬉しかった。主催の知人からは次回の依頼もいただいている。
セミナー講師の実績ができたのは大きいかもしれない。でもこのセミナーの報酬は2万円。今後このようなセミナーの依頼をたくさん受けられるようにならないと。
本当は中小企業のコンサルティングを行うことをイメージしていた。顧問先を探すために交流会にも引き続き参加しよう。
仕事や収入が安定するまで、二年程度は生活できるように貯金をしていたけれど、もうすでに一年がたってしまって、内心焦ってもいる。
退社したばかりの時は貯金もあるからと余裕で交流会や勉強会に積極的に参加してても、1年たつ頃から少し不安になったり焦ったりる気持ち、よくわかります。
名刺交換もたくさんできているし、人との繋がりができてきた頃。もう少し頑張らないといけない、と日々頑張っているのだと思います。
独立開業したばかりの中小企業診断士の収入がなかなか増えない原因
中小企業診断士として自立するということは独立開業、起業するということです。国家資格である中小企業診断士の資格を取得しても仕事が入ってこない、収入がなかなか増えないということには原因があります。
1.そもそも資格があれば仕事が入ってくるとなんとなく思っている
国家資格を取得するということがゴールになってしまっていたため、その資格さえあれは仕事が入ってくるとイメージしているという人が多いようです。なぜ中小企業診断士の資格を取得しようとしたのかを尋ねると、コンサルティングの仕事がしたいから、独立開業しやすいから、と答える方も多くいらっしゃいます。国家資格を取得しても、その資格を活用してどんなことを解決する仕事をするのか、どのような方法で依頼してもらうのかを考えられていないという可能性があります。
2.専門性や独自性がないため選ばれにくい
名刺交換をする時、「中小企業診断士です」「経営コンサルティングをしています」という方は多いのではないでしょうか。また最近では「補助金申請のサポートをしています」という方も多いです。経営コンサルティングと言っても何を専門にしているのか、または相手が「自分に必要か」とということが伝わっていない可能性があります。
3.起業するために必要な知識が少ないため正しい行動ができていない
中小企業診断士の資格を取得して名刺を作って、交流会や勉強会に参加する。このような方が多いようですが、独立開業=起業するということはもっと必要な準備があります。サービス提供や物販などで起業する方々と比較して、コンサルティングを売りにする方々は意外と起業の準備や資金繰りの計画が立っていないようです。コンセプトをしっかり決めてそれを伝えつつ、必要とされる発信内容と発信方法で、必要としている人に届くように流れを作ることができていない可能性があります。
4.実績が無いため仕事の依頼が無い
独立開業したばかりの中小企業診断士は当然ですが実績がありません。前職では実績があるという方も、会社の看板が無い環境ではなかなか仕事を依頼されることはありません。実績が無いと依頼されにくくいつまでも依頼されない状況が続きます。交流会で知り合った方に依頼されるとしても単発の仕事であれば安定もしません。まずは実績をつくりましょう。実績を作る方法はたくさんあります。
中小企業診断士が仕事の依頼をしてもらうために必要なこと
独立開業しても仕事の依頼が無い、収入が思うように増えないという中小企業診断士が、これから仕事の依頼を増やしさらに安定させるために必要なことは5つあります。
① 理念を掲げる
資格を前面に出して頼るのではなく、理念を発信していきましょう。理念がしっかりしていると依頼者に響きやすくなります。どんな考え方でどんな価値観を持っているのか伝わるようにしましょう。
② どんなお困りごとを解決できるのか明確にする
「経営コンサルティングをしています」「中小企業診断士です」というフレーズは相手には響きません。自分ごととして捉えてもらいにくいフレーズです。「へー!そうなんですね。すごいですね!」としか受け取られません。具体的にどんなお困りごとを解決できるのかを伝えることで、「それ、自分にとって必要かも!」と受け取ってもらえます。具体的にどんなお困りごとを解決できるのかを発信していきましょう。「なんでもできます!」「経営全般サポートできます!」はNG。なぜNGかはまた別のコラムにて解説します。
③ ターゲットに合う発信方法や営業方法を選ぶ
「経営コンサルタントです」「中小企業診断士です」だと思っているとターゲットが「中小企業」ということになります。これでは「自分の会社のことだ」と感じてもらうことが難しいです。どんな課題を抱えている中小企業なのか、お客様のことを理解してそれに合わせた営業方法を考えましょう。交流会や勉強会ではなく、チラシ配布、ホームページ、SNSなどあなたがターゲットとする企業やその社長、部門担当者はどのようなところから情報収集しているか考えましょう。
④ 資金繰りの計画を3年分たてる
中小企業診断士は固定費がほとんどないです。経費を抑えることは良いことですがそれによって自分自身の資金繰り計画を立てていない方も多いようです。何をいくらで契約または販売するのかを設定し、毎月どれくらいの経費がかかるか一度書き出してみましょう。どんな契約がどれくらい必要なのか、どんな依頼がどれくらいあればいいのかなど明確になり、それを目標に営業活動ができるようになります。
⑤ 実績をつくる
コンサルティングやセミナー講師などを依頼する立場の人は、何の実績もない中小企業診断士よりはキャリアを積んだ診断士を選ぶということは予想がつくことでしょう。中小企業診断士としてどんな課題を解決したのか、そのためのセミナーや講演会で登壇したのかなど実績があると安心感を与えます。何か実績をつくり、名刺や会社案内、ホームページなどに記載して信頼度を高めましょう。
いかがでしょうか。まだできていないという方や試験に合格したばかりの方には、まず最初に事業計画を立てることをお勧めします。事業計画を立てると上記の①〜④が完成します。
そして⑤の実績を作りましょう。実績の作り方はいくつか詳細は別のコラムでご紹介します。
ここまでできると営業がスムーズにできたり、紹介での仕事が入ってきたりする可能性が高くなります。
まとめ
独立開業した中小企業診断士がなかなか収入につながる仕事につながらないということはよくあることです。これは中小企業診断士だからということではなく、どんな仕事でも独立開業、起業したばかりの方は何もしなければ仕事が入ってくることはありません。
まずは事業計画書を作成し、自分のビジネスの軸をしっかり作りましょう。そして実績をいくつか作りましょう。
実績作りは今後の依頼者へ安心感を与えることができるほか、自分のサービスを磨き上げることにもつながります。
どんな仕事も同じですが、お客様のことを知ることからスタートです。これは中小企業診断士も例外ではありません。早速行動してみてくださいね。
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